本当に若い時期を別にすれば、人生にはどうしても優先順位というものが必要になってくる。時間とエネルギーをどのように振り分けていくかという順番作りだ。ある年齢までに、そのようなシステムを自分の中にきっちりこしらえておかないと、人生は焦点を欠いた、メリハリの無いものになってしまう。
(村上春樹)
この本、読書会で紹介しようと思って数年ぶりに再読したら、思っていた以上に心に響くものがありました。
村上春樹は毎年1回以上フルマラソンを走るような、かなり本格的なランナーです。
この本は、その村上春樹が、自分のランニングについて、それに絡めて自分の小説について書いてあるエッセイです。
ランニングや、小説について、自分のスタイルを確立していった様が書かれています。
印象的なのは、この人はあらゆることについて、「自分なりに、自分の性向、体質を見極めて、自分のスタイルを決めている」ということです。
例えば、
- 村上春樹は、全面的にコミットしないと落ち着かないタイプなので、小説家になるにあたって、経営していたバーの権利は売った
- 村上春樹は、一部の文章が自然にわき上がってくるタイプの小説家と違う。なので、コツコツ水脈を掘るようなやりかたで創作している
- 村上春樹は、朝方の人間である。創作に集中するために、夜の人付き合いなどは捨てた
などなどです。
周囲の反対が合った決断もあるようですが、それでも自分で決めています。
スタイルは自分なりに確立しないと、人生は焦点を欠いたものになる、ということなのだと思います。
少し話は変わります。
自己啓発書や、ビジネス書には、「あれをやりなさい、これをやりなさい」といろいろ指示がされています。
これを読むと、自分の性向を忘れて「ビジネス書通りにやらないと成功できないのではないか」という強迫観念を、知らずに持ってしまいがちです(私だけかな)。
しかし、本書を読んで、もっと落ち着いて自分なりのやり方を確立する方が良いという気がしました。
私は大体いつでも焦点を欠き気味です。
何かに焦点を合わせる(=フォーカスする)のは難しい、と思って一度あきらめていたのですが、もう一度何かにフォーカスすることにチャレンジしようかな。
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