「騎士団長殺し」を読んだ。
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ネタバレあります。ご注意ください。
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(性的な表現・暴力表現が)マイルドな、そしてわかりやすい「ねじ巻き鳥クロニクル」という印象でした。
これまでの村上春樹と違うと思ったのは、主人公が、この非日常的体験を経て、また日常に戻っていったところも描いているところ。
これまでの村上春樹は、非日常世界に行ったらそのまま夢うつつで終わっていた気がする(違うのもあるかもしれないが)けど、今回ははっきり終わっていた。
村上春樹の結論がこれ(つまり真っ当な職業的生活に戻っていくこと)だというのは意外でしたが。
ただ、考えてみれば、非日常をずっと生きたいというのは少々非成熟で浅はかなことのような気もする。
この体験を経て主人公が一皮むけたからといって、いきなり画家として大成するという方が安直で、村上春樹的にはリアリティがなかったのでしょう。
ただ、冒頭のシーンから考えると、また非日常的世界・試練は一度潜り抜ければ良いというわけではなく、その時その時で形を変えて何度も潜り抜ける必要がある(それに、そういうチャンスも何度もめぐってくる)ということなんでしょうね。
そのためには、常に賢く、「今が時だ」ってのを見逃さないように生きないといけない。
でも、右脳と左脳を目いっぱい働かせていたら、その時を見極めることができない。
毎日残業しまくって仕事に追われていたら、その時を見極めることができない。
ちなみに、今回も大量の小便をするシーンあり。
人生が変わるときには大量の小便が出るってのも村上春樹のリアリティなんでしょうか。
台湾旅行はほとんど「騎士団長殺し」を読むだけで終わってしまったけど、読み切れたので満足です。
久しぶりに良い読書だった。
やっぱり本は読まないとだめですね。
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