2013年3月12日火曜日

誰か早めに止めてくれ「毛沢東の大飢饉」


1958年〜1960年、中国で行われた「大躍進政策」。
中国が「15年でイギリスを追い越す」という目標を掲げて行った政策です。
この政策で中国国内は大飢饉に陥り、4500万人が死にました。

(この話知っていました?
私は高校で世界史を専攻していたのですが、この話を知ったのは大学に入って、自分で本を読むようになってからです。
もっと詳しく知りたいなあと思ってから数年後、ようやくこの本に辿り着きました)

ものすごい死のスパイラルが描かれています。
なにしろ4500万人が死んだという話なので、容易に書ききれませんが、ごく一部を書きます。

■ 劣悪な環境での治水工事で十万人が死ぬ。造ったダムが決壊して十万人以上が死ぬ

■ 安全性を重視するのは「右傾保守的」と思われるため、安全性がないがしろにされ、事後が増える

■ 鉄の生産量で評価される役人の実績アップのために、精製された鉄を粗悪な溶鉱炉に放り込んで粗悪な鉄を生産するという、本末転倒。その粗悪な鉄で出来た農具で農業をするから農作物の生産性は上がらず飢饉は拡大する

などなど、約600ページの本で、こんなことがずっと書いてあります。

ここまでなる前に誰か止めろよ、と言いたくもなりますが、スパイラルが巨大すぎるからこそ誰にも止められないのでしょうか。

前々から、ホロコーストの際、最悪の状態になる前になぜ民衆側から大規模な反乱が起きないのか、疑問に思っていました。
この本では、次のように説明されています。

(中国に限らず)飢饉に見舞われたベンガルやアイルランド、ウクライナなどでも、飢餓状態が確実となった時点では、既に人々は衰弱しきっており反乱を組織することは難しくなっていた。

なるほど。
驚くような理由ではないですが、歴史的に見て、民衆側からこのようなスパイラルを止めるのは難しいのかもしれないですね。

精神的にきつい本でした。
次は明るい本読みます。

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