2012年8月12日日曜日

自分のブレークスルーに期待してキャリアを決める 〜 職業は武装解除(瀬谷ルミ子)



今日ご紹介するのは、「職業は武装解除」という本。
なんか最近、戦争の話ばかりしているようですが・・・

この著者、プロフェッショナル仕事の流儀にも出ていたみたいですね。
私は日経ビジネス(オトマガジン)で知って、興味をもったので読みました。

著者は、1977年生まれ。
この本を書いた時点で33歳か34歳だと思いますが、既にアフリカを中心とする8カ所の紛争地域で平和のための活動を経験しています。

平和のための活動と言っても色々あって、軍隊を直接送り込む、警察機能を導入する、等がそうですが、著者の専門は「武装解除」。武器を持っている人に武器を放棄させる専門家です。

武器を放棄させるというのも、そう単純ではないです。
今まで持っていたものを放棄させるには、見返りを与える必要があります。
組織の下の方の兵士に対しては、職業訓練を提供し、平和になった後の食いぶちに困らないようにしてあげるというのが一般的のようです。そして、将軍のような上級士官は、「県知事にする」などの見返りを提供します。

今まで人を殺しまくっていた加害者たちにさらに何かを与える。被害者たちは、釈然としない思いはあるものの、内戦状態が続いて命を奪われる危険性が減るなら仕方ない、と我慢する。
武装解除というのは、とても微妙なバランスの上に成り立つものなんですね。


面白かったのは、この人のキャリア選択のときの発想。
基本的にこの人は引っ張りだこで、色んな紛争地域からヘルプを要請されます。
そういうキャリアの選択に迫られたときに著者が考えることは「自分の専門性が高まるかどうか」。基本的にはこれだけ。
仮にその時点の自分に能力が無くても、退路を断って新しい世界に飛び込む。そこでブレークスルーを期待する。ブレークスルーが来なければ、自分はそれだけのものだったということ。
ということを言っています。
紛争地域の危険度を心配する描写がないのには、違和感さえ覚えます(実際は心配しているのかもしれませんが)。

確かに、人生の決断について、あれこれ考えるのは良いのですが、気づくと考えなくても良いこと/考えない方が良いことまで考えていることって結構あります(私は)。
考え過ぎのときは、自分の思考を点検して、考えなくて良いことを取り除いて考えをシンプルにするとうまく行くのですが、この著者は思考のシンプルさがすごく極端です。

紛争の話も勉強になったけれど、それよりも著者のキャリアの決断の仕方が印象に残る一冊でした。

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追記

この人がこれだけアクティブに動けるのも、シンプルさのおかげなんだと思います。
ゴチャゴチャ考え始めると、ブレたり、迷ったりしますが、「シンプルであるからこそ突き進める」んじゃないかな。

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