2015年5月31日日曜日

市場を独占する可能性を秘めたスタートアップのみ投資価値がある - Zero to One



この本はおもしろいです。
著者は、ピーター・ティールという投資家。
経済学者とは少し違う視点で経済を見ているんだなという感じです。

特におもしろかった話はこれ。

投資先からリターンがあるかどうかは、べき乗分布。
ほとんどのスタートアップからのリターンは0。
しかし、ごく一部のスタートアップからのリターンは数百倍となり、すべての失敗をカバーする。
投資価値があるのは、そのような、1つ当たればすべての失敗をカバーできる”可能性がある”ビジネスのみ。
どのようなビジネスにその可能性があるかというと、市場を独占できる可能性があるビジネス。
既存ビジネスを改善する程度のビジネス、既存市場のレッドオーシャンでうまく勝負するような、よくて3〜4倍程度のリターンしか見込めないビジネス(つまりあたっても3〜4つの投資の失敗しか回収できない)にいくら投資してもトータルでは回収できない。このようなスタートアップには投資する価値がない。

という話。

なるほど。そうなのかもしれない。

投資は分散させるのが基本と言われますが、どう分散させたらいいのか、この考え方がヒントになりそう。

ただ、自己投資についてはどうだろう。
これまで自分自身、英語、IT、プロジェクトマネジメント、6シグマ、会計という、ライバルが多そうなレッドオーシャン投資をしてきたが、このうえにさらに何を組み合わせようか。
このピーターティールの考え方がヒントになるのかもしれない・・・と思ったが、もしかすると、むしろ自己投資の場合は逆か?

個人の場合は1000に1つ当てればよいという発想で自己投資するよりは、親和性の高いスキルを足していって、今よりも3〜4倍のリターン(年収)を狙うという手もあるかもしれない。

実際、組み合わせるものが増えることで、同じ能力を持った人は少なくなってきた感はある。
ただ、この能力に需要があるかはちょっと微妙で、実際今は英語や6シグマはあんまり使っていない。

ということで、正解はわからない(どっちもありそう)だが、投資のヒントにはなった。

投資の話以外にも、経済を見る視点が、すごくおもしろいです!


・・・

他におもしろかったことは以下。

■ 競争はイデオロギー
■ 中国人は自国の将来を悲観している
■ 人はクールな場所に集まる
■ スタートアップが破壊にこだわることは、自分自身を古い企業の視点で見るようなもの
■ あいまいな楽観主義はそれ自体が矛盾している
■ HPがコンサルティング事業に乗り出したり、コンパックと合併したのは、他にやることがなかったから
■ どんなビジネスを立ち上げるか考えるとき、人が語らない真実は何か?考えればいい。
■ 30〜40年前から低脂肪・穀物中心の食事が推奨されてきたのは、大手食品団体のロビー活動の結果
■ 将来に向けて投資するよりもコスト削減をする方が経営者の特になってしまう
■ ペイパルの創業者6人のうち、4人が高校時代に爆弾を作っていた

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