2020年6月15日月曜日

理屈の限界にどう対処するかー「騎士団長殺し」&「ブラック・スワン」再読



ずっと再読したいと思っていた「騎士団長殺し」を読めました。
ついでに、タレブの「ブラック・スワン」も途中まで読めました。
紙の本をこれだけ読めたのは久しぶり。
目の周りに違和感があって紙の本(=文字を拡大できない)は敬遠気味だったので。
せっかく読めたのでメモを残しておきます。

タレブの「反脆弱性」もそうだったのですが、こういう大作(というかポイントが多い本)は感想を一つの記事にまとめるのは難しいので、気になったことだけメモする感じです。
(初読時の感想は一応書いているので下にリンクを張っておきます)
多分ここでの気づきが、時間がたつと、ほかの記事などに組み合わさって、まとまっていくはず。

<理屈では読み切れない世界>
村上春樹の世界観(問題意識)の一つは
「理屈ではたどり着けない世界がある。そういう世界に触れないと納得できる人生は無い」
ということでしょう。
そして、村上春樹の答えは、そういう世界には
「感覚・直感・本能を研ぎ澄ませることでたどり着く」
ということだと思います。
だから主人公は仕事に追われていない状況で、定期的な運動、面白い人物との交流、おいしい食べ物、素晴らしい音楽、セックスで感覚などを研ぎ澄ませた状態で、何かが起こるのを待つわけです。
ある意味主人公は自分を過度に大事にしているので、読んでいるとかなりナイーブな気持ちになります。
(正直、仕事が忙しい時に読むものじゃないと思います)

<タレブの場合>
ブラック・スワンのタレブも、「理屈の限界」「理論の限界」を指摘している一人です。
でも、その問題意識・答えは村上春樹とは次元が違って、
「世の中は複雑・ランダムで読み切れない」(問題意識)
「予測・理論の中に登場しないブラック・スワンに全部持って行かれる」(問題意識)
なので、
「予測を捨てて、ランダム性に耐えられるようオプションを持とう」(答え)
といっています。
ちなみにタレブはかなり神経が太い方と思われ、自分を過度に大事にしておらず、読後感はまるで違います。

<MECEに切れば全部解決するわけじゃない>
最近、自分自身「理論の限界」「理屈の限界」を感じているから、こういう本に心惹かれるのかもしれないです。
「騎士団長殺し」で起こるブレイクスルーって、全てを因果で説明しようとするビジネスノウハウとは対局のところにあると思うんですよね。
こんなブレイクスルーはめったに起こるものではない、と言えばそれまでですが。

MECEに分解して策を講じれば何でもかんでも解決するわけではない。
でも最近ビジネスの現場で起きているのってこれじゃないですかね。
私はロジカル・シンキングとか、問題解決技法とか、かなり好きだし素晴らしい技だとは思っていますが、同時にこれで全部いけるわけではないとも思います。

世の中や人間は二次元的なものではなく、複雑(三次元的)で、時間によっても刻々と変化していく(四次元的な)ものなので。
MECEで二次元的に切ったところで全部の問題が解決できるわけではないのです。


・・・・・・
なお、2度読んでも、「スバル・フォレスターの男」「二重メタファー」がわかりませんでした。
わかる日が来るのでしょうか。


個人的に気になった個所をこちらにメモしました
https://yusuke-remanore.blogspot.com/2020/06/blog-post_17.html


初読時の感想はこちら
http://yusuke-remanore.blogspot.com/2017/04/blog-post.html





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