2012年11月17日土曜日

人生を旅した気分 - 旅のラゴス(筒井 康隆)



面白い本です。
高度な文明を失った世界で、北から南へ、南から北へ、人生をかけて旅をするラゴスが主人公。


面白かったことを2つにまとめます。

1.世界観

50頭ほどのスカシウマ(なんだそれ?)と、170頭ほどのミドリウシ(なんだそれ?)を連れた40名ほどの遊牧民ナルダムの一族(誰?)と一緒にシュミロッカ平原(どこ?)にテレポーテーションをするところから旅は始まります。

空想の世界ですが、著者がイメージしている舞台はどこなのでしょうか。
私が読んだ印象では1,000年くらい前の中央アジアか、中東といった感じですが、判然とはしません。
この非日常的な世界に浸れる楽しさ
旅行中に読むのにぴったりでした。



2.人生の可能性

200ページほどの小説ですが、主人公は戦争に遭い、2度奴隷になり、王様になり、研究者になります。
有望な若者を育てたり、妻を何人か娶ったりします。
主人公の人生(大人以降)を凝縮した小説です。
読んだら、人生を旅した気分になります。
著者は、一人の人間が人生の中でどれだけのことが出来るかという、人生の可能性を描きたかったのではと思います。
境遇が乱高下するのが幸せかはともかくですが。


ところどころ、おっさんの妄想(美人の妻を同時に二人娶るとか)が織り込まれており、女性にあまり自信を持ってお勧めできないなあ・・・と思っていたのですが、人生をかけて旅をするストーリーで、恋愛や性が描かれないのもそれはまた不自然なので、これはこれで良いやと思い直しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数ヶ月前、旅行中に読んだ本だったのですが、本棚の整理中パラパラと見返して、感想を書きたくなり、書きました。

0 件のコメント: