2013年5月26日日曜日

太陽のパスタ、豆のスープ(宮下 奈都)


タイトルが良いので買ってみましたが、中身もかなり良かった。

主人公(28歳、OL)は、婚約破棄されたことをきっかけに、「ドリフターズ・リスト」を作ります。

ドリフターズ・リストとは、一種の「やりたいことリスト」。
道しるべが無くなった漂流者(ドリフターズ)が、流木にすがるように、それを支えに生きていくためのリスト。
(タスクをうまく管理するための、テクニカルなものではない)。

主人公は、ドリフターズ・リストに自分の道しるべを書き記し、実行し、時にはリストからアイテムを消しながら、自分と向き合い、立ち直っていきます。
間違って的外れなことを書いてしまったことに気づいたら、リストから消しても良いのです。アクション⇒フィードバックを経て、自分のリストはどんどん成長していきます。
その辺が、タスク管理技術のような機械的な世界とは違います。

私たちも、ある意味不透明な時代を漂いながら生きていく漂流者。
漂流者が、自分の道しるべを書き記す「ドリフターズ・リスト」。
使えそうだと思いました。
婚約を破棄された人に限らずね。

ちなみに、主人公のドリフターズリストはこんなです。
(ネタバレ防止のため、全部は書いていません)

  • きれいになる。
  • 毎日鍋を使う。
  • やりたいことをやる。
  • ぱーっと旅行をする。
  • 新しく始める。
  • 豆。

2013年5月25日土曜日

お金という人生の呪縛について (松本 大)



私には目標とする経営者はいませんし、経営者の自伝も読んだことはありません。
(松本大)

マネックス証券CEOのエッセイ集。
自分の体験をベースに、本当に自分の言葉で語っているという印象です。
現代成功哲学とか特に踏まえていないところが新鮮。


仕事について面白かった考え方、2点紹介します。


1.仕事には優先順位をつけるな
なぜなら、
「慣性、あるいは勢いやノリがるかどうかで仕事の処理スピードは極端に違ってくる」からである。

だそうです。

たしかにそう。
綿密に、全タスクに、S/A/B/C/Dみたいに優先度をつけて管理していたこともあるけど、これはイマイチ勢いが出ません。
自分の感情を押し殺して、ロボットみたいに働きまくれる人ならいざ知らず、普通の人間は勢いに乗って(勢いをうまく使って)仕事をするってのは重要だと思います。


2.仕事は詰め込みまくれ
「脳が慣れれば実現してしまえる」
から大丈夫だそうです。

これも確かにそう。
「これ以上アサインメントが増えたらもう無理」という状況で仕事ふられたことが何100回もありますが、大体なんとかなっています。
脳の回転を落とさないためにも、レベルアップしていくためにも、ある程度仕事は詰め込まれている方が、私も好きです。
(終業時間外にしたいことも山ほどあるので、長時間労働が好きという意味ではないです)


仕事の進め方、2点紹介でした。

色んな人の仕事についての考え方を読むと、仕事の進め方に定石はあるけど、正解は無いという気がします。
入社数年して、定石を大体押さえたら、自分が一番Value addできるやり方を探していくフェーズに入る方が良いのかもしれないです。


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その他面白かったことメモ

・ アメリカ大統領は、お前よりも遥かに大きな問題を抱えて、かつ処理しているが、お前よりも遥かに睡眠時間は長い
・ 金は人が喜ぶように使う
・ 自分が議長をする会議では「絶対決める」という意識で臨む
・ 納税はもっとリスペクトされるべき
・ XYZ戦略(既存の構造下での生き残り戦略)よりも、ABC戦略(新しい構造下での成長戦略)をとれ

世の中を前進させろ! 「これからの世界」で働く君たちへ(山元賢治)


アップル・ジャパンの元代表取締が書いた本。
その前は、IBM、オラクル等でも働いていたそうです。

グローバル企業で働くのに必要なメンタリティがわかる本でした。



さて、面白かったこと3点紹介します。

1.変化を起こすには(圧倒的な)好奇心が必要 
2.点と点をつなげることに躍起になるな 
3.世の中を前進させろ!

では順にどうぞ。



1.変化を起こすには(圧倒的な)好奇心が必要

「変化しないことは後退である」ということが言われています。
なので、「毎日何らかの変化をする」ことがよく推奨されているのですが、「小手先の変化」とか「無目的な変化」ってたかが知れているんですよね。
やらないより良いでしょうが。
それよりも、
圧倒的な好奇心をもって何度もアクションをする。結果大きな変化生み出せる。というのは本当だなと思います。



2.点と点をつなげることに躍起になるな

「1つの能力だけではなく、複数の能力の組み合わせで、その人の価値が高まる」ということが言われていますが、何をどう組み合わせるかって、難しいんですよね。無理に親和性低いものを組み合わせても意味ないし。

著者の考えはこうです。
自分の複数の能力を組み合わせることに力を入れず、広げていくことに力を使うほうが良い。なぜなら、点と点は後になって結果的につながるものだから。
なるほど。
点と点は後からつながってくることを信じて(先人の知恵以外に信じる根拠ないけど)、いろんな知識・経験を身につけていけばいいと思うと、気が楽でいいですね。

そういえば、日本マイクロソフトの元社長の成毛眞も同じことを言っていたような。
アップルとマイクロソフト、似たところもあるんですね。ライバルなんだから当たり前か。


3.世の中を前進させろ!

最近、こういうのって重要だなと思い始めました。
自分がどう世の中と関わっているのか考えておかないと、どうも中途半端なアクションが多くなってくるので。
自分に余裕が無い時はこんなこと考えられませんが。


以上、個人的に面白かったポイント3点でした。



それにしても、この人、ええ顔してるなー。
きっと自信に満ち溢れているんだろうな。
自分に自信を持っているって、良いことです。
32歳にして何を言っているんだという感じですが、最近「自分に自信を持っていること」の価値を感じます。


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その他メモ

・ 修学旅行のコースに、東京・銀座のアップルストアが組み込まれていることがある
・ 常にサプライズ
・ 「カッコよく音楽を持ち歩けないか」という問いを発明できたことがアップルの勝因

2013年5月19日日曜日

ブログのタイトル変えました



ブログのタイトルを変えてみました。

「頭の中で裸で踊る」

キャリー・マリスの本"Dancing Naked in the Mind Field"が面白かったので、日本語にしてつけました。
このくらい柔軟な頭でありたいです。

あとは、ニーチェが「踊り続けろ」と言っているので。

さて、がんばって踊ります。

世界を仕切れる国が無い


池上彰の時事解説「知らないと恥をかく世界の大問題4」を読みました。

目次はこれです。
プロローグ 「Gゼロ」時代の新しい世界を見通す―世界を動かす新しい役者は揃った 
第1章 腐っても“大”国、アメリカが抱える対立 
第2章 ノーベル平和賞を受賞したのに―ひとつになれないEU 
第3章 世界のエネルギー地図が書き換えられる―基軸通貨ドルの延命 
第4章 過酷なアラブの夏がやってきた―中東・アフリカの厳しい現実 
第5章 一触即発の東アジア―危険な大国の内と外 
第6章 ゼロからわかる安倍政権が目指すもの   
エピローグ 世界は歩み寄れるのか? 

世界の社会問題の背景・大枠押さえるのに最高です。

例えば、冷戦以降の世界は、おおざっぱに言うと

世界を仕切れる国が無くなった
⇒ 世界の勢力の多極化
⇒ 勢力争いのため小競り合い・地域紛争が各地で起きている

だそうです。
米ソ二極体制が終わって、タガが外れたということなんですね。
もちろん、この理屈では捉えきれないことはあるでしょうが、こういう大枠をつかんでいると、時事の理解度が格段に上がります。

例えば、尖閣諸島の問題もこの流れで出てきている小競り合いの一つです。

こう考えると、私が子供の頃(=冷戦中)は、私が生きている間に日本が戦争に巻き込まれるとは思ってもいませんでしたが、最近怪しいなという気がします。怖いです。
安倍は今絶好調でしょうが、憲法第9条は変えないでほしいな。



その他、面白かったこと箇条書きにしておきます。
  • 国際社会はテロリストとの交渉に応じない。テロリストとの交渉に応じる日本は、世界の中では非常識。
  • 「アルカイダ」は、過激派の中ではブランド。「アルカイダ」を名乗ると資金を集めることが出来る。
  • 慰安婦問題はどんな戦争でも起こりうる。
  • 日本ではステイトを「州」と訳すが、元はと言えばどちらかというと「国」のこと。アメリカは13のステイト(国)が集まって建国されたイメージ。

2013年5月7日火曜日

タックス・ヘイブンは脱税天国ではない - 池上彰のニュースから未来が見える


■ タックス・ヘイブンはあくまで"Tax Haven(税の避難所)"。
"Tax Heaven(脱税天国)"ではない。

■ 「Aソ連型ウィルス」はどこかの研究所から流出して大流行した(と言われている)

■ アメリカでは認可なしに「大学」を名乗れる

■ 地震は予測不可能だから、予知に金を使うのでなく、地震時の対策に金を使うべき

■ 第二次大戦中の「連合国」も、終戦後の「国際連合」も、"United Nations"。基本的には同じ団体。


池上彰の時事解説はいつも読んでいて、「分かりやすいな」と感心しているのですが、今回はどうも全体の論旨よりも、トリビアにばかり心が反応してしまいました(トリビア集も価値はあると思うので、メモとして残しました)。
多分、私の頭がイマイチ働いていなかったからだと思います。
何が心に残るかって、読み手の頭の状態・精神状態にかなり依存しますからね。
池上彰は、もう1冊読みたいものがあるのですが、しばらくしてから手を出すことにします。

2013年5月4日土曜日

新しい働き方(2)



先のエントリに続いて、新しい働き方についてもう一言だけ。

「仕事のやりかたを考える」といった特集の時、

  • コワーキングスペース
  • ノマド
  • カフェさながらの素敵なオフィス

等がよく紹介されるのですが、そんなにクリエイティビティや生産性が上がるのでしょうか。

例えばGoogleのオフィスはこんな感じ(リンク切れたらスミマセン)。







週1日くらい、素敵なオフィスやノマドワークが許されるというなら、気持ちのメリハリが出来そうで私もやってみたいが、基本的に、事務机・事務椅子・書棚・フルセット文房具等に囲まれているほうがほとんどの事務仕事ははかどると思うのですが・・・
これは、ITと経理しか経験したことが無い本社系の発想なのかな。

新しい働き方


Brutusの、新しい働き方についての特集を読みました。

  • グローバル化
  • テクノロジの発達
  • 人々の価値観の変化

など、新しい状況下でどう働くか、という特集です。


  • 社会起業家(グローバル化)
  • ソーシャルメディアを使ったビジネス(テクノロジの発達)
  • シェアハウスに住む人を相手にしたビジネス(価値観の変化)

なんかが紹介されています。
事例がたくさんで価値ある特集だと思いました。

感想2点にまとめると・・・

  1. 新しい働き方といっても、何か確固たるものがあるわけではなく、多くは試行錯誤段階という印象
  2. 今後、全てが新しいものに取って代わられる訳ではなく、新しい要素と、古い要素が併存する社会が続くんじゃないのか

です。

「新しい状況にただ適応する」のと「新しい状況を積極的に使いこなす」というのはスタンスが違います。
本特集は、後者のスタンスで、新しい技術等を積極的に駆使した前衛的な人たちの紹介でした。
前衛的な分、試行錯誤段階というか、実験的なものが多い印象です。

数年前までは、こういう流れは全部フォローしたいと思っていましたが、無理に新しい変化を全部取り入れるのではなく、最低限適応するというスタンスもありだなと思い直しています。
新しい流れが全部定着するとは限らないので。

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というか、実際多くの人は、必要最低限適応して生きているんですよね。
ソーシャルネットワークワールドで活動していると、逆にそういうことを忘れてしまいがちです(前衛的な話を聞くことが多く、前衛的な人の方がメインであると勘違いしてしまう)。
ソーシャルネットワークワールドも、あくまで社会の中の偏ったごく一部。これを忘れないよう、最近気をつけています。

2013年5月3日金曜日

ソーシャルネットワークワールドは、みんながみんなのハブ


久しぶりに、(自己開催ではなく)他の方の読書会に立て続けに参加しました。

気づいたこと2点、軽い覚え書きです。

1.ファシリテーションしない方が話がよくわかる

自分が進行しながら人の話を聞くのと、参加者として話を聞くのは、聞くポイントが全然違います。

自分が進行していると、どうしても盛り上げるために聞いてしまうのですが、自分が参加者だと、純粋に自分のために聞くことが出来るのが良いです。


2.みんながみんなのハブ

最近、読書会を主催する人が増えました
(そういう知り合いが増えただけかもしれない)。
私は、色んな方の読書家に行くのが好きです。
どれも雰囲気違うし。
進行のやり方の参考になるし。

私の読書会に、他の読書会の主催者さんが来てくれることもあります。
「主催者」と「参加者」という固定的な関係ではなくて、時に「主催者」に、時に「参加者」になる。これがフラットなネットワークというものです。
こういうふうに、知り合いが増えていくというのが、SNSを使った会の、一つの面白さなのではないかと思います。
みんながみんなのハブなのです。

大人になってから身につけた自信は時に脆いが、無いよりはずっと良い



自分の恵みに感謝しなさい
自分のかけがえなさを主張しなさい
自分の枠を超えなさい
選ぶ力を賢く用いなさい
(オグ・マンディーノ)


私が普段読まないタイプの本、「この世で一番の奇跡 (オグ・マンディーノ)」を読みました。

「金さえあれば」
「時間さえあれば」
みたいな発想は、時に誰しも持ってしまうと思います(「金」、「時間」はあくまで例です)。
しかし、あなたが持っている資源は他にもたくさんある。
例えば、

  • 考える力
  • 愛する力
  • 意思の力
  • 笑う力
  • 創造する力
  • 計画する力
  • 話す力
  • 祈る力

などです。
あなたはより良く生きるための素晴らしい資源をたくさん持っているから自信を持ちなさい。
これらをフルに使って、生きなさい。
そういうことを言っている本です。

自分に(適度な)自信があるって重要なことですよね。
私は20歳前後まで自分に全然自信が無かったのですが、その後ボランティアやサークルを通じて、それまで自分が使っていなかった様々な資源を使って活動して、徐々に自信がついてきました。
基本的には、自信は活動・成功体験を通じて身につけるものだとは思いますが、本書は一歩踏み出す原動力として使えると思います。

生まれつき自身を持っているようなタイプの人の自信と比べると、このような、大人になってから身につけた自信というのは時に脆いのですが、持っていないよりは100倍良いです。
皆さん、あの手この手で自信をつけましょう。


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追記

この本では、上記の教えが凝縮された第9章(文庫版で約30ページ)を100日続けて読むことが推奨されています。(私は10日くらい実践してみた段階です)

この、「100日続ける」ことにどんな意味があるのか。
最初は、「繰り返すことで記憶に残る」が一番の意味だと思っていました。
しかし、しばらく実践して思ったのは、毎日読むと、コンディションが良い日、普通の日、悪い日、色んなときに読むことになります。
色んな体験が、この教えと結びつくことで、「調子が良い日だけ使える教え」ではなく、あらゆる場面で場面で使える知恵となるような気がします。