2013年3月18日月曜日
目立つの好きでもいいですよね? - 夢を売る男(百田尚樹)
一生に一度は本を出版してみたい。
そう思っている人は多い。
そんな人々から、200万程度を巻き上げて本を出版してあげるビジネスを描いた小説。
アメリカでは、このような自己顕示欲を満たすための出版を、「バニティ・プレス(虚栄出版)」と呼んでいるらしいです。
自己顕示欲が強くて本を出版したくてたまらない人たちの滑稽さをコメディタッチで描いています。
しかし・・・
この小説の中では、
文章を書いて自分を表現したい!
本を出版したい!
という、人間の自己顕示欲が揶揄されていますが、目立つの好きでも良いんじゃないか?とは思います。
私は目立つの好きですよ。
むしろ、自己顕示欲なんて自分の原動力として使っていいのではないかと思っています。
まあ、実力が伴っていなければみっともないかもしれないですが。
出版業界の裏を暴いたとされる小説ですが、正直どのくらいまで本当なのかはわかりません。
そのような業者が実在してはいるようです。
最近、経歴のわかりにくい著者による取りとめのないビジネス書が増えたな、とは思っていましたが、もしかしたら似たような経緯で出版されているのかな・・・?
まあ、これはあくまで想像です。
2013年3月17日日曜日
ニッチビジネスが明滅する社会での働き方は? - WIRED (ワイアード) VOL.7
雑誌WIRED (ワイアード) VOL.7の感想。
特集は、
「未来の会社 これからの「働く」を考える」
です。
社会起業家(ビジネスとして社会変革をする人)の話が面白かった。
テクノロジ系の雑誌なので、現在のテクノロジを使って、どんな社会起業家が出てきているか紹介されています。
例えば、
- 高度な医療機器をポータブル化してPCと接続して使えるようにするビジネスをしている会社
- 世界に6億人いるという耳の不自由な人のためにソーラーで動く補聴器を開発販売している会社
- 世界は800万人の教師不足に直面している。これをインターネットを使って解決しようとしている会社
社会起業家というと、未開の地で泥まみれになって働いているイメージでしたが、そうとも限らないんですね。
イメージ変わりました。
(余談ですが、雑誌は本よりも具体性が高いのが一つの良さです。1冊の本を読んで分からなかったことが、数ページの雑誌記事を眺めてパッと分かることが時々あります。)
今後、経済の動きはもっと速くなり、このようなニッチビジネスを展開する企業が明滅する世界になるのかな。
(というか、もうなっているのか)
だとしたら、このような企業で、即戦力的に価値を提供できる人間にならないと、働き方の幅が狭くなるかもしれません。
では、どうしたら即価値を提供できるか。
結局、メチャクチャ深い専門技能が無いとダメなのではないかと思います。
2013年3月15日金曜日
歴史を捉え直す「銃・病原菌・鉄-(上)(ジャレド・ダイアモンド)」
世界の歴史の中で、支配者と被支配者を分けた3大ファクター(というか武器)は、銃・病原菌・鉄である。
と言っています。
もっと言うと、西洋人が世界中を支配出来たのは、銃・病原菌・鉄を持っていたからだということです。
銃・鉄があれば他国を支配しやすいというのは分かりやすいですが、「病原菌」とはどういうことか。
農耕が発達すると、人々が密集することが可能になる。
人が密集すると、病原菌が蔓延することがしばしばおこる。
それで人が大量に死ぬこともあるが、これを繰り返しているうちに、体内に病原菌を保持した病原菌に強い人間が出来上がる。
その人たちが、他国に進出すると、進出された国はその病原菌で壊滅的打撃を受ける。
ということです。
実際は、この三大ファクター以外の細かいファクターも取り上げて話が進んでいきます。
歴史を色んな角度から捉えるというのはいいですね。
「いかにもビジネス」という感じの本は飽きてきたので、かわりに、本書のように、歴史の捉え方が面白い本をどんどん読んでいくのもアリかなと思いました。
色んな角度から捉えるからこそ、歴史から学べます。
年号を覚えるだけでは歴史を学ぶことは出来ても、歴史から学ぶのは難しいです。
(ただ、高校までの、年号等を覚えまくる歴史勉強が無意味だとは思いませんよ。あの知識があるからこそ、本屋で適当に手に取った歴史の本もそれなりに読める訳なので)
現代の個人のための、「銃・病原菌・鉄」はなんだろう。
「金・行動力・勇気」かな。
いや、これは、単純に俺が欲しいものか・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この重厚な内容を、文庫で読めるようになったのはありがたいです。
しばらく、通勤中読んでいました。
この後は下巻に行かず、最近文庫化された「文明崩壊」の上に手を出そうかな。
2013年3月14日木曜日
【食】キムチ鍋で試行錯誤
キムチ鍋のキムチは、一度火が通ったくらいで、煮え切る前に食べるのが一番うまい。
従って、キムチ鍋が一番うまいのは、作った初日である。(なぜなら、それ以降はキムチが煮えてしまうから)
というのが私の持論だったのですが、
「であれば、毎日食べる分だけ鍋に少しずつ入れて(キムチの段階的投入)、温めて取れば、毎日煮え切っていないキムチを食べられるのでは?」
と思い、試してみたので、そのメモ。
結論を言うと、「キムチの段階的投入は成り立たない」です。
まず初日。
キムチのダシがほとんど出ないので、鍋全体がキムチ鍋という感じになりません。
普通の寄せ鍋の上にキムチを盛っただけのような感じになります。
コチュジャンとかを入れているので、多少辛いですが。
2日目以降。
食べるたびにキムチを入れて温めていると、だんだんキムチのダシが出てきて、鍋全体がキムチ鍋の様相を呈してくるのですが、
キムチを足す=塩分を足す
ということなので、日に日に味が濃くなり、段々マズくなってきました。
水を足すと、バランスがおかしくなるし・・・
思うようには行かないものですねえ。
というわけで、試行錯誤の末、持っているキムチを最初に全部投入するというオーソドックスなやり方に戻ってきたところです。
しかし、試行錯誤というのは大事ですね。
これで、清々しく持っているキムチを全部最初から投入できます。
試行錯誤していなければ、いつまでたっても「もっと良いやり方があるかも?」と思ってしまうとことでしょう。
それに、試行錯誤の中で、「キムチから塩分が出てくる」こととか、「どのくらい煮たらおいしい」かとか、だんだん分かってきます。
この感覚は、別のものを作るときにも活きてくるはず。
多分ね・・・
いい人は帰ってこなかった - 夜と霧(ヴィクトール・E・フランクル)
次は明るい本を読むと言いながら、この本を手に取ってしまいました。
第二次世界大戦時、ナチスの収容所を経験した心理学者が書いた本。ホロコースト全体の記録ではなく、この著者が見た収容所の記録です。
一番重要な考察はこれです。
「精神的にあきらめた人は必ず死んだ」ということ、そして、「収容所の体験を運命と捉え、その一回性と唯一性に意味を見いだすことが、収容所で生き残るための必要条件だった」ということです。
もちろん、大勢の人が意味もなく殺されたような場所なので、精神的にあきらめなかった人が全員生き残ったということではありません。
他にも、人々が収容所でどのような心的態度を示したか、精神がどのような変遷を辿っていったかが書かれています。
例えば・・・
- 人々は「なんだかんだで、酷いことにはならないはずだ」という「妄想」に取り付かれた
- シャワーから(毒ガスではなく)本当の水が出た時、人々は歓喜した
- しばらくすると、内面がじわじわ死んでいき、正常な感情が無くなった
- 楽観的な噂(例えば、戦争がもうすぐ終わる)が嘘だと分かると、人々は救いがたい絶望の縁に沈んだ
- 運命に弄ばれた人間は、決断を下すことを尻込みするようになる
- (解放された時)うれしいということは無かった。うれしいということがどういうことか、もう一度学び直さなければならなかった。
私とは境遇が違いすぎて、ここから容易に「これを学んだ」とは言えません。
人間が極限状態になるとどうなるのか、人間の限界はどの辺りにあるのか、その一部が分かります。
時間と心に余裕がある時、こういう即効性が無くても深い本を読んでおくべきですね。
2013年3月12日火曜日
"日常の美しさ"を忘れない - 100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート
「暮しの手帖」編集長、松浦弥太郎が大事にしている100の基本原則が載っています。
例えば、
美しくていねいな言葉遣いを心がける
一年に四度、旬のごちそうを頂く
一週間に一度は花を買う
など、美しい感じのものが多いです。
「暮しの手帖」などという雑誌(スミマセン、読んだことありません)の編集長をしているだけあって、日々の暮らしを重視しているのが分かります。
どうしてもオラオラ系のビジネス自己啓発書に目が行きがちだったため、「日常の美しさ」というのは見逃していた価値でした。
私、正直それほど美しくない日常を送っていますが、日常を美しくすると、それなりににじみ出てくるものがあるのかもしれないですねえ・・・
誰か早めに止めてくれ「毛沢東の大飢饉」
1958年〜1960年、中国で行われた「大躍進政策」。
中国が「15年でイギリスを追い越す」という目標を掲げて行った政策です。
この政策で中国国内は大飢饉に陥り、4500万人が死にました。
(この話知っていました?
私は高校で世界史を専攻していたのですが、この話を知ったのは大学に入って、自分で本を読むようになってからです。
もっと詳しく知りたいなあと思ってから数年後、ようやくこの本に辿り着きました)
ものすごい死のスパイラルが描かれています。
なにしろ4500万人が死んだという話なので、容易に書ききれませんが、ごく一部を書きます。
■ 劣悪な環境での治水工事で十万人が死ぬ。造ったダムが決壊して十万人以上が死ぬ
■ 安全性を重視するのは「右傾保守的」と思われるため、安全性がないがしろにされ、事後が増える
■ 鉄の生産量で評価される役人の実績アップのために、精製された鉄を粗悪な溶鉱炉に放り込んで粗悪な鉄を生産するという、本末転倒。その粗悪な鉄で出来た農具で農業をするから農作物の生産性は上がらず飢饉は拡大する
などなど、約600ページの本で、こんなことがずっと書いてあります。
ここまでなる前に誰か止めろよ、と言いたくもなりますが、スパイラルが巨大すぎるからこそ誰にも止められないのでしょうか。
前々から、ホロコーストの際、最悪の状態になる前になぜ民衆側から大規模な反乱が起きないのか、疑問に思っていました。
この本では、次のように説明されています。
(中国に限らず)飢饉に見舞われたベンガルやアイルランド、ウクライナなどでも、飢餓状態が確実となった時点では、既に人々は衰弱しきっており反乱を組織することは難しくなっていた。
なるほど。
驚くような理由ではないですが、歴史的に見て、民衆側からこのようなスパイラルを止めるのは難しいのかもしれないですね。
精神的にきつい本でした。
次は明るい本読みます。
2013年3月11日月曜日
ガイドがあるから新しい世界に入っていける 「面白い本(成毛 眞)」
立て続けに成毛眞です。
マイクロソフトの元社長、成毛眞の100冊ブックガイド。
ノンフィクションばかり紹介されています。
自分が知らなかったワールドに踏み込むための手がかりとして、相当使えると思います。
私も興味ある順に7冊ほど注文しました。
しばらく通勤の間に読むものには困らないです。
分厚い本が多いので、重くて持ち運びにくいという意味では困っていますが。
私、知識人のブックガイドって好きですよ。
ガイドがいるからこそ新しい世界に入っていけるということがあると思います。
書店で本を眺めて買うのはもちろん良いですが、ガイドがあればそのやり方では買わないような本に辿り着けます。
これまで、勝間和代、斉藤孝などのブックガイドも結構使ってきました。
そしてその都度(こう言うとおこがましいですが)世界が広がってきた感があります。
さて、今度はどんな世界が広がるかな?
やりたくもないことをする行動力などたかが知れている「大人げない大人になれ! (成毛 眞)」
やりたくもないことをする行動力などたかが知れている
夢中になれることに出会えたら、その幸運に感謝しろ
空気を読むと空気のような人になる
「大人げなさ」は人生を楽しむための道具である
マイクロソフトの元社長、成毛眞の本。
傍若無人で偉そうな人なので、本を読んだ感想は賛否両論あるでしょうが、成毛眞の本はなかなか名言にあふれています。
全肯定はしかねますが、本書でもたくさん名言を取り出せたので満足しました。
正直、もともと傍若無人でない(私のような)タイプの人が、無理に「大人げなく」なろうとしても、あまりうまくはいかないと思います。
しかし、こういう「大人げない」生き方もあり得るということは心に留めておくと、いざ「大人げない」ことを思いついたときに活かせそうですね。
成毛眞の「面白い本」が面白かったので、本書も併せて本屋で買ったのですが、所々読んだ記憶がある。
もしかしたら再読だったかもしれない・・・
2013年3月10日日曜日
不安に駆られて動いていないか 「ビューティ・ジャンキー-美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち(アレックス・クチンスキー)」
アメリカの美容整形中毒者、つまり整形にハマっちゃった人の話。
著者自身も、整形にハマっちゃった過去があるようです。
感染症のリスクがあっても、ヨハネスブルグ(南アフリカ)で割安の整形手術を受ける人
美容整形で顔の表面をひっぱりまくった結果、顔が突っ張って笑った顔以外の表情が出来なくなる人
年間6百万円美容整形に使った挙句、親友の葬儀の直前に美容整形を受けて、顔がはれ上がり、結局参列できなくなる人
など、美容整形にハマってしまった人たちがたくさん登場します。
尚、出てくる人はみんなセレブです。
はたから見ると、この人たちはかなり滑稽なのですが、本人たちは必死です。
「軍隊のような綿密さ」で、大金を使い、時に手術失敗のリスクを負いながら、自分自身を「向上(enhancement)」させていきます。
ニューヨークなどの一部のセレブの間では、「美容整形をしないなんて人じゃない」みたいな考え方があり、そのコミュニティの圧力で、不安に駆られて整形中毒になっていく人が多いでようです。
さて感想ですが・・・
ここまで極端ではなくても、誰しも不安を原動力として動いてしまうことってありますよね。
私自身も、場合によっては、不安に駆られて似たような非合理的で自己破壊的なことをしうると思います。
変化の多い現代、「アクションは早ければ早いほど良い」という風潮がありますが、不安に駆られて動かないよう注意が必要ですね。
2013年3月5日火曜日
発想は伝染する - アウトプットフィールドの話2
文章を書ける頭が戻ってきました。
前々回のエントリ
アウトプットフィールドとしてのRetty
に続いてアウトプットのフィールドが増えるのは良いという話。
ここ数年、アウトプットとしては文章が中心だった私にとって、一昨年からスピーチというメディアが出来たのは画期的でした。
言語コミュニケーションという意味では文章と同じですが、頭の使い方が変わります。
今度は、久しぶりに、漫画でも書こうかなと思っています。
私の場合、漫画を描くには、漫画のインプットが必要です。
ビジネス書ばっかり読んでいると、ビジネス書的に発想してしまう。
漫画を読めば、漫画的に発想できる。
そういうものです。
発想は伝染します。
発想は伝染します。
ということで、久しぶりに幾つか新しいマンガを読んでいます。
ただし、何かが満ちてくるまで時間が必要なので、少々お待ち下さい。
尚、写真は、斎藤孝お勧めの「課長バカ一代」という漫画です。
いかにもくだらなくて良いです。
ドロドロした恋愛小説も程々に - 飛鳥井千砂をめぐる冒険
最近、飛鳥井千砂という作家の小説が面白くて、ここ2ヶ月で5冊ほど読みました。
どれも、不倫であったり、略奪であったり、若干ドロドロしていて苦しい恋愛小説です。
こういうドロドロした恋愛小説は面白いというのは発見でした。
飛鳥井千砂は、1979年生まれ。
1980年生まれの私と、どこか感覚が近いという感じはします。
年代が近くて、感覚が近いから面白いのか・・・?
と思っていたのですが、そのあと数冊読んだ、唯川恵という小説家の作品も面白かったです。
この人は1955年生まれで、私の25歳も年上(ほとんど母親と同じ年)なんですけどねえ。
これだけ世代の違う私を楽しませる小説を書くとはすごいです。
この人の小説も大体ドロドロしています。
私の両親も、こんな恋愛を経験してきたのでしょうか?
あまり想いを馳せないことにしますが。
しかし、複雑な人間関係は、心を不安にさせる。
読みすぎたせいか、若干不安な気持ちになってきました。
読書って、心を安定させもするし、不安にもさせますね。
心を不安にさせる読書は程々にしておきます。社会人なので。
2013年3月4日月曜日
アウトプットフィールドとしてのRetty
"Retty"って知っていますか?
http://retty.me/
飲食店のレビューを書くためのSNSです。
つまり、知り合いが行った店の感想とかを読めます。
面白くて、ここ数カ月使っています。
飲食店に限らずですが、ものの感想って、年齢・性別・収入・価値観などによりますよね。
もちろん、"たべログ"のような匿名性高いレビューも参考にはなりますが、直接知っている人のレビューを見られる"Retty"はとても価値が高いです。
以上、Retty自体の話でした。
さて、ここから本題です。
結論から書かなくてすみません。
自分もレビューを幾つか書いてふと気付いたのですが、飲食店や食べ物の評価って、今まで自分が書いたことないジャンルだなということです。
書くたびに、
「こう書けばよかった」
「これは書く必要なかった」
と、気付きがあって面白いです。
食べ物の感想というのも、かなり奥深い世界ですね。間違いなく。
簡潔にまとめるために色々工夫するのが、良い頭の体操にもなっています。
メディアによって、頭の使い方が変わる。
メディアを複数持つというのは良いことです。
(今年はこの他にもアウトプット用のメディアを持とうかと思っています)
これを続けていたら、海原雄山並に食べ物について語れるようになるかな・・・
それは無理か。
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