2011年8月6日土曜日

2000年間で最大の発明は何か [単行本] ジョン ブロックマン (著)


★★★★(5段階評価)
これも読書会で紹介されていた本です。
仕事に直結しない読書もいいですね。

高名な科学者・技術者が参加するメーリングリストで「2000年間で最大の発明は何か」という問いを発して、それに帰ってきた答えをまとめた本。

108人の回答が次々並んでいます。
人気が高かったのは、印刷機、レンズ、計算法、ピル、医療技術、コンピュータ(分散型ネットワーク)、電池あたりでした。
この他回答には、確率論、キリスト教とイスラム教、マーケティング、不確定性原理、のような考え方・理論も含まれています。
「とくに言及に値するものなし」なんて回答もありました。
いろんな知識人がいろんな前提を勝手に置いて(時にはルールを勝手に逸脱して)自分の考えを披露していくのが面白いです。あまり体型だった知識は得られませんが、知識人のものの考え方のパターンを知ることができます。(もしかしたらこれがこの本の一番のメリットかも)

ものすごく高度な技術を使った発明がインパクトが大きいとは限らず、ローテクがインパクトを与えることも多くある、ということもわかりました。
たとえば馬の首あてとか(これにより馬が首を絞められることなく重たいものを引きずることが出来るようになった)。
私として意外だったのは、ピルを挙げる人が多いことです。日本ではピルってそこまで浸透していないイメージですがどうなんでしょう。

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メモ/トリビア
・ マサイ族は頭痛の治療に山羊の糞をドロドロにしたものを額に塗る
・ 大学は、共通の基盤を持つ人をたがいに接近させることで新しい知識を作り出す(確かに大学院のゼミってそんな感じだったな)
・ インターネットは無数のパーツ(発明)に依存しているが、その影響はそのパーツの総和をはるかに超えている
・ 電池が出来たばかりのころ、電気ショックで動物を殺す見世物が出てきた
・ 第二次世界大戦後あたりでも麻酔は精密な技術ではなく、全水麻酔により虚脱をきたして死亡する例が頻発していた
・ 発明は累積的なものである
・ 人間性を調べる研究方法として、心理学はマーケットリサーチに負けてしまった
・ 普通選挙権に基づく民主主義と、善意のエリートが考えるユートピア的幻想の間には政治的緊張がある
・ 最も重要な発明は疑問文である
・ 時計は客観性を体現したものである

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