(村上春樹自身が書く小説のストーリー展開について)どうなるか僕にも先はわかりません。この角を曲がったらその先に何が待ち受けているのか、書いていても見当がつきません。
<中略>
最初はいくつかのプロットと、登場人物程度しかありません。いかなる設定も持たずに書き始め、ただただ日々書くことによってストーリーを発展させていく。(村上春樹)
村上春樹が、メディアのインタビューに回答したものをまとめた本です。1997年~2009年の、18本のインタビューが収録されています。
この本は面白いです。
しかし、役立つかはわかりません。
村上春樹の創作の仕方がよくわかります。
私は、クリエイティブな仕事をしている人の創作の本・ドキュメンタリーが好きですが、その中でも面白かったです。
これまで特に好きだった
・ 「出発点」(宮崎駿のエッセイ・インタビュー集)
・ 「もののけ姫はこうして生まれた」(もののけ姫制作のドキュメンタリー)
・ 「プロフェッショナル 漫画家 井上雄彦の仕事」(井上雄彦のドキュメンタリー)
の3つに並ぶ面白さでした。
500ページもある本で、しかもインタビュー集なので、いろんな話が出てきますが、今回は、村上春樹の物語の作り方について書きます。
村上春樹は、自分が自分の物語の最初の読者であると言います。
冒頭の引用文に書いてある通りですが、物語のアウトラインを決めて書き始めるわけではなく、自分の中から出てくるものを文章化することで物語を進めていくそうです。
これでよくあの長い小説が書けるなと感心しますが、まあ、村上春樹の作品を読むと納得という気もします。村上春樹の作品は、話の展開が面白いのではなく、文章が面白いというタイプのものなので。
また、
神様が上から見て、こいつがこっち言って、あいつはそっちに行かせてというふうに、作中人物の行動を動かしていくって、上からの目線という感じがすごくしたわけ(村上春樹)
とも言っています。
ストーリーや人物をコントロールするのが好きではないのですね。
実は、ストーリーや人物をコントロールしすぎないというのは、先に出した宮崎駿や井上雄彦とも共通しています。村上春樹はアニメーションに興味がないので宮崎駿のことを意識してはいないようですが。
さて、このコントロールしないというやり方・・・
意味はわかりますが、どうしたらそれが出来るのかは正直見当がつきません。
実はこのコントロールしないで何かを作り上げるというやりかたを知った時に、自分の発想とあまりに違うので感銘を受けてマネしようとしたことがあります。しかしうまくいきませんでした。
むしろ私はコントロール好きの人間(だからプロジェクトマネジメントに向いている)なので、真似してもあまりうまくいかないのでしょうね。
何か仕事に活かせないかな・・・とも考えましたが、思いつきません。ビジネスというフィールドに向く考え方でもないような気がします。
しかし、普段仕事でコントロール重視の生活を送っているということがわかりました。コントロールしすぎない時間も確保したいですね。
なお、本書は、同じ質問に何度も回答しているので、同じ話が何度も出てきます。
それは適当に読み飛ばしましょう。
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